ブックタイトル季刊理想 Vol.121
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季刊理想 Vol.121
音楽科でもはがき新聞を活用できる シンポジウムでは、まずコーディネーターの森山卓郎先生からはがき新聞の長所や魅力について紹介があった後、「今回はこの言葉を使おう」というように、条件作文的な取り組み(「表現チャレンジ」)を行ってみてほしいとの提案もありました。同時に、はがき新聞を通した交流を行うことで、多くの企業が人材採用で重視している「コミュニケーション能力」の育成にもつながるとの説明もありました。 次に、中島先生から小学校低学年でのはがき新聞の実践報告がありました。中島先生が取り組んだのは、音楽を鑑賞し、知覚・感受したことを、言葉で表現する取り組み。まず主な旋律を口ずさんだり、楽曲のテンポや強弱に合わせて手拍子や足踏みをするなど、音楽の要素と仕組みを確認しながら、楽曲を鑑賞。その後、音楽を聴いて感じたことをはがき新聞にまとめるとともに、新聞の内容を友だち同士で共有し、その後でもう一度音楽を鑑賞するという実践例を紹介しました。一連の授業を展開して、中島先生は書くことに至るまでの学習活動をしっかりと教師がデザインできれば、はがき新聞は語彙力・要約力・編集力の育成、コミュニケーション能力の育成などにつながると述べました。編集力・表現力が身につく 次いで、神﨑先生が中学校国語科(『少年の日の思い出』)での一連の学習のまとめとして、はがき新聞づくりに取り組んだ事例を紹介しました。神﨑先生は「何を」「誰に」伝えるのかを明確に設定するとともに、「情報収集」「設定したテーマに沿う記事に絞り込む」「記事を字数に合わせて調整する」など、プロセスを重視した独自の指導法を説明。また、生徒に行った事後アンケートなども踏まえて、はがき新聞は「編集力」や「要約力」をつけるとともに、表現力を磨くことができ、中学校で取り組む意義も大いにあると話しました。 次に、達富先生は、学習課題を明確にすることで、子どもたちの学びが主体的になることを、独自のコンパクトライティングでの授業実践例を基に紹介されました。達富先生は、ただ子どもに任せて書かせるだけでなく、指導事項や書く言語活動とともに、「思考操作(考え方)」を具体的に記した学習課題を提示することで、子どもたちは学習活動に主体的に取り組むようになるとともに、学習のプロセスの見通しをもったり、振り返りをしたりすることができるようになると説明。最終的には学習課題や学習計画を子どもたち自らつくるようにすることで、成長をより確かなものにすることができると指摘しました。 最後に、森山先生の指導に従って、フロアの参加者みんなではがき新聞を作成するワークショップを実施。参加者は思い思いにはがき新聞を書き上げるとともに、出来上がった作品を基に交流を深めました。季刊理想 2016 秋号 ◆ 5