ブックタイトル季刊理想 Vol.121
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季刊理想 Vol.121
第12回「プリントコミュニケーションひろば」最優秀賞・理想教育財団賞授与式こだわりの手書き通信が高い評価 7月15日、第12回「プリントコミュニケーションひろば」最優秀賞・理想教育財団賞を受賞された岐阜県岐南町立岐南中学校校長(現・岐阜市立岩野田中学校校長)の安田英士先生(「校長新聞『AGE』」)への授与式が岐阜市立岩野田中学校にて行われました。式には審査員を代表して冨安敬二立教大学名誉教授(審査員長)、村橋一成元山県市立伊自良中学校教頭、矢吹正徳日本教育新聞社取締役編集局長が出席しました。 冨安名誉教授は「手書き特有の温もり、優しさ、そして学校長としての思いが濃厚に伝わってくる通信。しかも、用途に合わせて、線描きのペンの太さが工夫されていて、読みやすい。最優秀賞・理想教育財団賞は満場一致で決まりました」と受賞の理由を説明。それに対して、安田先生は「今やパソコンでの通信づくりが主流の時代ですが、だからこそ手書きでの発行にはこだわっています。とはいえ、最優秀賞の受賞は思いも寄らないことで、ただただ驚きました」とコメントしました。左から村橋一成元山県市立伊自良中学校教頭、斎藤靖美理想教育財団専務理事、安田英士校長先生、冨安敬二立教大学名誉教授、矢吹正徳日本教育新聞社取締役編集局長▲実際の作品を基に、通信づくりで工夫した点を審査員に説明生徒の作品をレタリング集として保存。研究材料として活用している 一般的に学校だよりは、学級通信などと比べて双方向性に欠けるきらいがあるものの、「行事の報告だけでなく、時にはスマホ(メディア)に関する問題など、保護者にとって関心の高いテーマも正面から扱います。昨年度は通信の記事をきっかけに、PTA役員会において、ディスカッションが行われるなど、大きな反響がありました。学校だよりであっても、取り上げる記事次第で読者との双方向性は確保できます」と強調しました。丁寧な取材が、生き生きとした記事を生む 「一昨年の作品に比べて、昨年度は生徒が登場する紙面が確実に多くなっている。しかも、生徒の姿が生き生きしていて、丁寧な取材がなされている」との村橋氏の指摘に関しては、「一般論ばかり書いても面白みがありません。常にメモ帳を持ち歩いて、気になったことはそのつどメモして記事にします。時折、生徒に『今のメモした?』と指摘されることもありますよ」とのこと。加えて、矢吹編集局長から、「多忙な中で、これだけの内容の通信を出し続けることに頭が下がる思い。生徒や保護者はもとより、教職員に対してもよい影響を与えているはず」との感想が述べられました。 安田先生が通信を作成するにあたり、日々参考にしているのが、およそ四半世紀前に赴任した岐阜大附属中の生徒会新聞。これはと思うレタリングや割り付けなどをファイリングして、常に研究材料として活用しているとのことです。 最後に安田先生は「入賞作品集の講評は自分ではなかなか気づけない、制作のコツや改善点を教えてくれる絶好の機会。まずは、前回(第11回)同様に、貴重なアドバイスを新しい通信に反映させたいですね。正直に言えば、手書きで細かい文字を書くのは目も疲れるし、負担が掛かりますが、定年までしっかりと発行し続けたいと思っています」と今後の抱負を語りました。季刊理想 2016 秋号 ◆ 21