ブックタイトル季刊理想 Vol.121

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概要

季刊理想 Vol.121

DO U MENT文化を通じた交流が活発に 広田湾と門之浜湾に挟まれた陸前高田市小友地区。両湾から最大16mともいわれる津波が押し寄せ、住民の避難所に指定されていたコミュニティセンター(公民館)も浸水被害にあいました。「元来、小友は地域の絆が強い地区。避難場所でもみんなで食事の準備をしたほか、住民には平等に避難物資を分配しました」と吉田豊司・小友地区コミュニティ推進協議会会長は当時を振り返ります。 同協議会の役割の一つは、地域の文化・芸術活動の振興に寄与すること。中でも、毎年開かれる、協議会主催の「文化祭」は住民自身が普段の文化活動の成果を発表する貴重な機会です。「震災の年には中止を余儀なくされる地区もありましたが、小友地区では何とか開催することができました。震災後は、新住民の方々が積極的に作品を発表して、地域に溶け込むきっかけとするなど、文化を通じた交流も深まっています」(吉田会長)に要望するなど、活発に活動しています。 震災により、若い世代を中心に地区外への流出が進み、地域の伝統文化の継承も大きな課題に。「かつてのように、船を繰り出して、豪勢に海上七夕を行うようなことはできませんが、地域の伝統をすたれさせないために、今年は規模は小さいながらも地区の祭りを開催することに決めました」(山口徹也副会長)。 震災で浸水被害にあったことから、コミュニティセンターは近い将来、高台に移転することも決定しています。震災からの復興、コミュニティの再構築を確かなものとするためにも、同協議会のますますの活躍が期待されます。 さらに、同協議会では、教育委員会が進める生涯学習の一環として、住民を対象にした講座(「成人教室」「高齢者教室」)も開講。住民の皆さんが運営委員を担い、地区の課題を踏まえて、学習テーマや内容を企画、運営するなど、主体的に活動しています。「助成いただいた印刷機は、講座の資料作りなどに大いに活用したいと考えています」と吉田会長は語ります。小学校と連携した防災教育を推進 震災後、同協議会が力を入れていることの一つが、地域の小学校(市立小友小学校)との連携です。「小友小学校は震災時に浸水したこともあり、保護者や子どもたちの不安も大きい。そこで、同小と一体となって、子どもたちに対する防災教育を展開しています」(佐藤悦男副会長)。さらに、震災時には車が渋滞して、子どもたちが避難経路の県道を横断できない可能性も考慮して、歩道橋の設置を市小学校と連携し、地域一丸となって子どもたちを育てています陸前高田市小友地区コミュニティ推進協議会小友地区コミュニティ推進協議会の皆さん。印刷機助成に対する感謝状が酒井顧問に手渡された 昭和56年、陸前高田市内11地区に設置されたコミュニティ推進協議会。理想教育財団が印刷機を助成した小友地区コミュニティ推進協議会の皆さんに、同協議会での活動内容、地域の小学校との連携などについてお話をお聞きしました。季刊理想 2016 秋号 ◆ 9