ブックタイトル季刊理想 Vol.120
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季刊理想 Vol.120
海外からのお便り●?? サン・ジェルマン・アン・レイ補習授業校 高橋 潤子日本とフランス、学校の違い~授業中の生徒の態度や教師の任務、また保護者の学校へのかかわりなどで~ 生徒の態度と評価の違い 個人差はありますが、フランスの生徒達は小さいうちから自己主張がはっきりしています。授業中でも自分の考えや感想をはっきり述べ、間違いをあまり恐れません。答が分かっているのに恥ずかしいから発言しないということは少なく、先生に指される前から手を挙げたり発言したりすることもあります。臆せず自分の意見を述べることができるというのは非常に素晴らしいことですが、同時に生徒達が我先に話そうとしてにぎやか過ぎることもあります。 日本の授業では、授業中に黙って説明を聞いている態度は「真面目である」と評価されますが、フランスの授業では、頻繁に質問をしたり意見を述べたりする態度が「積極的に授業に取り組んでいる」と評価される傾向にあります。日本人の子供たちは「控えめすぎる」「発言をしない」という点がマイナスに見られがちなので、日本的な考え方や美徳などを説明して理解してもらっています。 教師の任務 フランスでも、学習到達目標・取得すべき能力は国民教育省により明確に定められていますが、そのための手段は各教員の裁量に任されています。例えば同じ学年であってもクラスごとに使用している教材や教科書が違うことがあります。社会見学や遠足もクラス単位の行事であり、3年生のA組、C組は臨海学校にいくけれどB組は行かない、ということがあるのです。日本の感覚では少し不公平な気がしますが、フランス人はそういうもの、と納得しているようです。日本の教師は授業の他にも、進路指導や生徒指導などの様々な校務を担当しますが、フランスにはそれぞれに専門の担当者がいます。教師の責任が問われるのはあくまでも学校の中の出来事や学習に関することで、一歩学校をでたら、何が起こっても保護者の責任となります。日本のように教師が家庭訪問や生活環境の指導をすることはありません。それは社会福祉士やカウンセラーの仕事とされているからです。融通がきかない反面、責任の所在は明確になっています。教師の仕事はあくまでも勉強を教えることなので、給食や休み時間に生徒を監視するのは専門の指導員の仕事です。生徒も学習のために学校に来ているとされるので、日本の学校のように教室の清掃をした正門前で小学生がポーズをとっています。 り給食当番をしたりするということがありません。学内にあるお城で、講堂や劇場、会議室として使われている学校のシンボルです。20 ◆ 季刊理想 2016 夏号