ブックタイトル季刊理想 Vol.120

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概要

季刊理想 Vol.120

 保護者と学校 保護者の学校へのかかわり方も、日本とフランスでは違っています。フランスでも保護者会や面談はありますが、日本のような授業見学はありません。各クラスでは年度の初めに保護者代表を選び、この代表が保護者と教師の橋渡し役として、保護者の意見を取りまとめたり、教師からの連絡事項を保護者に伝えたりします。保護者代表はまた、教員や学校運営者などが参加する運営会議に出席して発言することもできます。代表とならなくても、遠足の付き添いやイベントの手伝いなど、保護者が関わる機会も少なくありません。保護者が直接電話やメールで担任と連絡することはできませんので、連絡帳を通じて面談を申し込んだり、連絡をすることになります。 成績会議 成績会議とは、各生徒について、担任をはじめ全科目の教師が集まって所見を述べていく会議なのですが、そこには生徒代表と保護者代表も参加します。彼らはオブザーバーとして参加し、その会議で述べられた内容を記録して他の生徒や保護者に伝えたり、生徒や保護者の要望を教師側に伝えたりします。同時に、教師の立場では見えにくい情報(友人関係や家庭環境など)を参考情報として述べることもあります。 日本では点数がいまいちでも本人のやる気や努力が成績に加味されることがありますが、フランスのシステムではあくまでも点数がすべてです。留年や飛び級も成績会議で決定します。最近ではなるべく留年は避ける方針へと変わってきましたが、よく理解しないまま次の学年に進むよりももう一年学習して点数を伸ばしたいということで、生徒や保護者の方から留年を求めるケースもあるのです。 おわりに 当補習校の生徒達は、日本語の授業や家庭教育を通じて日本的な考え方や文化を身につけており、帰省の際に日本の学校に体験入学することも少なくありません。同時にフランスの学校生活でヨーロッパ的な行動様式や思考方法と毎日接しています。このような環境にいる生徒達には、ぜひ両国のいい面を吸収してほしいですし、教員一同も日仏の教育の優れたところを取り入れて、よりよい教育をめざして邁進していく所存です。小学校3 年生のクラスの授業です。小学校1 年生のクラスが全校の合唱祭に日本セクションを代表して参加しました。剣道部の練習風景です。昨年度の卒業生たちです。France サン・ジェルマン・アン・レイ補習授業校はパリの西郊外に位置する学校であり、リセ・アンテルナショナルという国際学校の中にある日本セクションとして活動を行っています。生徒数は幼稚園年中組から高校三年生まで189人です。本校に在籍する生徒たちは、週6時間(高等部では8時間)の国語と社会の授業の他は、すべての科目をフランス語で学習しています。このような環境にあって、私も日仏の学校の違いを日々実感しております。季刊理想 2016 夏号 ◆ 19