ブックタイトル季刊理想 Vol.119
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季刊理想 Vol.119
●シンポジウム●第2部 シンポジウム 「はがき新聞の実践とアクティブな学び」第4回 理想教育財団教育フォーラム はがきの要素、相手を思い浮かべ、伝えたいことを簡潔に書くこと。また、新聞の要素、見出しや図表を含めて、5W1Hを意識した文章を書くこと。これが合わさったものが、はがき新聞です。文字数も少なく、また、時間もかかりません。イラストなども工夫しながら、生徒も気軽に取り組めるとあって、本校では学年全体で扱っていますが、その学習効果は非常に大きなものがあります。 今年度行われた、全国学力・学習状況調査意識させています。こうすることで、書く内容にぶれが生じません。 3つ目は条件に沿って書くこと。何を、どのように書くのかを明確にする。指導については、こう書きなさいと強制するのではなくて、「こういう言葉を使って書いてみよう」「何段落の文章にしてみよう」「文章の言葉を引用してみよう」「図と関連させていこう」という形で、条件を与えていきます。 4つ目は、継続する、そして、作品を完成佐賀大学文化教育学部教授達富 洋二先生ますし、計画的な指導計画を行っていけば、さまざまな力が身についていくでしょう。また、交流活動も可能です。 さらに、ポートフォリオで、学習の成果、振り返りをすることも可能です。つまり、どの場面でどう扱っていくのかを考えることで、さらに、実践の広がりが見えてきます。 実践を始めてから8年目になりますが、はがき新聞には、私が認識していない可能性がまだまだあるのではないかと感じています。単元学習の中のコンパクトライティングアクティブな学びのグループ学習 私自身が、日々の実践の中で、心がけているのは次の4点です。 1つ目は教師の都合で段落や場面を細分化する授業展開ではなく、常に、テキスト全体と部分を見ながら、子どもが焦点を絞るような授業をしていきたい、そういう単元を作りたいということです。 2つ目は、小刻みな発問を繰り返すのではなく、子どもが学び方をデザインするようにする。つまり、自ら問いをもち、学習計画を立てるようにするということです。できるだけ子どもが主体的に学習するということをめざしています。 3つ目は言語活動を中心に単元を考えるということ。そして、4つ目は、教科書だけの学習ではなく、学習読書を含め、複数の材料を使って単元を作ることです。 その具体的な実践として、本日はコンパクトに書く授業例を紹介します。 不定期ですが、朝日新聞に紙面に掲載された投書に対する意見を紹介する「投書の投書」欄があります。これを参考に、「走れメロス」の人物像について、投書で交流する単元を設定しました。 最初の投書は担任の先生に14歳になったつもりで書いてもらいました。そして、この投書に対して生徒が自由に意見を書くというものです。 「走れメロス」の発問中心の授業では無難な答えを言う生徒が多いのですが、この言語活動では、作品に対する違和感も含め、一人一人の生徒の独自の読解から生まれた意見がたくさん書かれました。 さらに、4人グループをつくり、4つの立場(賛成、反対、中間など)から書き、多面的に意見を交わす取り組みも行いました。 こうしたグループ学習では、決まって聞かれる言葉があります。それは「じゃあ」です。「じゃあこうやろうよ」「じゃあここは私がやる」。「じゃあ」が発せられた時の子どもたちは、たいへんに主体的でアクティブです。 今、スクリーンに映し出した写真は、グループで話し合っているときのものです。子どもたちの姿を見てください。3つの机をあえて1つはずして、2つの机で3人が話し合っています。机が3つあると距離ができてしゃべりにくい。このあたりの距離感の調整も、子どもが自分で考えていきます。 中には、膝を椅子の上に置いて、身を乗り出している生徒もいますね。こうなっているときは、身体的にはもちろんですが、頭の中はさらにアクティブになっていると思います。8 ◆ 季刊理想 2016 春号