ブックタイトル季刊理想 Vol.119

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概要

季刊理想 Vol.119

●シンポジウム●第2部 基調講演  「言語活動をアクティブに展開するには」    シンポジウム 「はがき新聞の実践とアクティブな学び」      「言語活動の充実へむけて」第4回 理想教育財団教育フォーラム 日々の教育で重要な4つのこと。それは、学びの方法、質、量、やる気です。どんな学び方にしても、方法の工夫が極めて大事ですが、質と量も大切な要素です。そして、やる気がないと、アクティブに、能動的に進めることはできません。 この観点から改めて注目したいのが、コンパクトに書くという活動です。おおむね100字から300字程度で、30分以内、早ければ、5分や10分でも書けてしまう。 さらに、コンパクトに書くことができれば、第2部 シンポジウムはがき新聞の実践とアクティブな学びコーディネーター早稲田大学文学学術院教授森山 卓郎先生にして、友達同士で交流する。その交流の中で気づいた点を踏まえて、最もよい解答に仕上げる。こうした内容の授業です。皆さんも、ぜひ実際に解答を書いてみてください。 申し上げたように、はがき新聞にはさまざまな可能性やメリットがあります。それを生か長い文章を書く際にも役立つ、基本的な力がつきます。負担感も少ないので、頻繁に学んだことをアウトプットできる。そして、この子はどういうところが弱いんだろう、どのように解決すべきだろうと、評価を基にして次の学びにも生かしていける長所があります。 コンパクトに書くツールの一つである、はがき新聞のよさについても考えてみましょう。楽しく書けてしまうことに加えて、量的な負担が少ない。テキストとしてのまとまりもあるので、段落など文章構造の意識づけができます。図表や絵なども入れられます。新聞ですから、相手意識や目的意識が明確になるほか、相互に見せ合って交流もできる。 それだけではありません。構成やデザインも工夫できるし、見出しによってまとめる力や表現効果を考える力もつきます。 「何々新聞」という形で、同一作者の新聞として連続性も担保できるため、いわゆるポートフォリオ的な蓄積ができます。 さらに、はがきの機能を生かして、そのまますためにも、先生方が常に、言語活動の質を高めるという視点を持つことが大切です。ただ書かせて、回収するという画一的な授業ではなくて、アクティブに学習をさせる、主体的、協働的に学ばせる工夫が必要になるのではないかと思います。通信できてしまう面白さもあると思います。 もちろん書くときも、何のために、誰に書くのかを明確にしたり、「今回はこの言葉を使いましょう」「主語述語に気をつけて書きましょう」「引用を使って書きましょう」など、的確に課題を与えることができます。 さらに、学習者の力、あるいは、狙いに応じて書く質を高めていくこともできます。そのためにも、課題をスモールステップに分割し、それらを押さえながら書くことも大事でしょう。 学びを自分のものにしていくには、一定の量が、どうしても必要になりますが、はがき新聞を通じて、頻繁に書くことで、経験の絶対量を確保することもできます。 やる気に関しても、実際に、原稿用紙に比べて、はがき新聞の満足度が高いことは、私たちが行った調査結果から明らかです。原稿用紙に書くのは苦手という子どもでも、はがき新聞なら意欲的に書くことができる。そうした満足感を持って取り組めることは、学習への意欲にもつながると思います。 言語活動の充実が、ここまで先生方のご尽力のおかげで推進され、成果が上がってきました。はがき新聞はこれをさらに発展させる手段の一つです。工夫次第で大きな成果が上がると思います。―シンポジウムにあたって―6 ◆ 季刊理想 2016 春号