ブックタイトル季刊理想 Vol.119
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季刊理想 Vol.119
●特別講演●第4回 理想教育財団教育フォーラム第1部 特別講演 「学習指導要領改訂の方向性」護者は感じているのです。 こうした状況も踏まえながら、次期学習指導要領の議論では、「何ができるようになるか」「何を学ぶか」「どのように学ぶか」が改訂の視点に挙げられています。このうち、「どのように学ぶか」における具体的方策がアクティブ・ラーニングの視点による授業改善です。プロセスの頻繁な繰り返しとインタラクション、リフレクション アクティブ・ラーニングの視点による授業改善を行う上で、重要なことは子どもたちが課題意識を持って、「プロセス」を繰り返すこと。先生の話を聞いたり、教科書を読んだり、本で調べたり、友達や地域の人から話を聞いたりして知識を習得し、その知識を自分の中で処理して考え、その結果を、もう一度ノートにまとめたり、発表したりする。 つまり、知識や情報をインプット(内化)し、その後に自分の考えを、他者にアウトプット(外化)するというプロセスを頻繁に繰り返す中で、一つ一つの知識が関連し合い、ネットワーク化され、結果的に、各教科で学んだ知識や技能が安定的に残り、しかも使えるものになってきます。そのためにも、暗記再生型から思考発信型の授業の割合を高めていくことが欠かせません。 これに加えて、「相互作用」(インタラクション)も重要です。友だち同士で話し合いをする中で、子どもたちは自ずとよく聞き、よく考え、よく語るようになります。さらに、友だちの意見、すなわち異なる他者の情報を踏まえて物事を考えることで、自分の意見の質も高まってきます。 そして、「振り返り」(リフレクション)として、その考えを、文字言語を使ってまとめることで、より意識の中に定着させることができるようになります。手ごたえ感覚の獲得が学びに向かう力を育む 一連のこうした授業を展開する中で、子どもたちは手ごたえ感覚を得ることができるかどうかが重要です。手ごたえ感覚が得られると、子どもたちは、また頑張ろうと思います。そして、より安定的な心的傾向性を持つことにつながります。 何度も繰り返す中で、子どもたちのチャレンジ精神が育まれていくとともに、周りの人と協力しようという気持ちも定着するようになるのです。 つまり、能力や態度というものは、好ましい姿の繰り返しということになります。逆にいえば、好ましい姿が繰り返され、積み重なってくると、安定した態度や能力が身についてくるということです。 「プロセス」「インタラクション」「リフレクション」。これら、アクティブ・ラーニングの3つの視点で授業を改善することによって、より使える能力、より安定した、ネットワーク化された知識、そしてより安定的で持続的な意欲が形成されるようになるのです。 この点を踏まえながら、ぜひそれぞれの学校の先生方には、効果的な実践をしていただければと思います。4 ◆ 季刊理想 2016 春号