ブックタイトル季刊理想 Vol.118
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季刊理想 Vol.118
(2)児童・生徒個々に応じた学びの実現 今まで紙の教科書に線を引くのは、教師の指示のもと、確認しながら行うことが多かったように思う。消しゴムで消せないことはないかもしれないが、消すことを前提には引かせない。しかし、学習者用デジタル教科書などが入ったタブレット端末では、線を引いたりマーカーでチェックしたり、図表に注釈をつけたりといったことを気軽にできる。 さらに、タブレット端末環境では、学習記録データを活用することができる。学習記録データとは、文部科学省「学びのイノベーション事業実証研究報告書」によると、児童生徒の学習の過程や成果等が示されているものとして、プログラムへの操作やプログラムの動作を記録した「学習履歴」、学習活動によって生まれる記録や成果物である「学習記録」「学習成果物」をまとめたものをいう。この学習記録データを活用することにより、教員は児童生徒の学習状況を把握し、指導に生かすことができるし、児童生徒は振り返りや相互評価に生かすことができる。残念ながら、筆者が期待するような活用レベルのものが実装されている例はまだほとんど見受けられないが、今後必ずいろいろ登場してくるものと思われる。 言うまでもないことだが、ICT環境をどのように生かすかは教師次第である。どんなに普及しても、紙の教材・教具が無くなるわけではないと筆者は考えている。これまで大事にしてきた授業づくりの部分はなんらかわることはない(図3)。その中で、ICTの選択や非ICTとの組み合わせを検討し、1+1が3にも4にもなるよう、今後の一層の実践研究や研修が重要になってくる。参考文献文部科学省「平成26年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(概要)」http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/__icsFiles/afieldfile/2015/11/06/1361388_01_1.pdf(2015.12.01 取得)文部科学省「学びのイノベーション事業実証研究報告書」http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/030/toushin/1346504.htm(2015.12.01 取得)● 特別寄稿 ●タブレッ教育に中川一史(なかがわ・ひとし)先生●プロフィール1959年北海道生まれ。専門領域はメディア教育、情報教育。主な研究テーマとしては、国語科教育におけるメディア活用の研究、情報教育に関する学習環境の研究、ICT活用指導力育成に関する研究、タブレット端末の教育利用の研究など。文部科学省の各種事業の委員、国語と情報教育研究プロジェクト代表、一般社団法人デジタル表現研究会(D-project)会長等を務めるほか、数々の小中学校の実践研究の指導・助言にあたる。『つなぐ・かかわる授業づくり: タブレット端末を活かす実践52事例』(作者はD-project 編集委員会)など著書、編著多数。図36 ◆ 季刊理想 2015 冬号