ブックタイトル季刊理想 Vol.118
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季刊理想 Vol.118
DO U MENT現場を預かる校長としては、なるべく震災色を薄め、震災前に流れていたであろう時間を取り戻してあげることが大切だと考えました。実際、昨年度卒業した生徒からは『学校に来れば普通があった。それがうれしかった』と伝えられました」 「普通」の教育環境に戻す。これは決して震災自体を忘れることではありません。むしろそれを乗り越え、前向きに日常生活を送るために必要なことだったと金先生は述懐します。「私たちは東日本大震災という異常事態を経験したからこそ、仲間がいること、校舎があること、教科書があること、給食があることなど、『普通』のありがたさを実感できた。そこに意識を向けることで、日常の生活、教育活動がより貴重なものになるし、結果的に教育の質も上がってくる。被災の有無に限らず、当たり前の日常を大事にする意識が教育現場には求められていると思います」黒潮魂で、何事も前向きに 「東京ドーム全体にマイクなしで聞こえるぐらいの声で!」「男子、もっと声を出そうよ!」 指導する先生、そして生徒たちの声が音楽室内に響き渡ります。やがて、ピアノ伴奏が鳴ると、クラスの全員が声を合わせ、身振り手振りを交えながらの大合唱が始まりました。迫力のある美しい歌声とともに、前向きで楽しそうなクラスの雰囲気が伝わってきます。 これは取材日に見せていただいた3年生の音楽の授業の一コマ。金先生に、大船渡中学校の自慢をお聞きすると、即座に「生徒たちです」との答えと地域の大人から学んだ伝統芸能を文化祭で披露音楽の授業の一コマ。身体全体を使って歌う姿に感動大船渡市立大船渡中学校舎。校庭にはまだ仮設住宅が14 ◆ 季刊理想 2015 冬号