ブックタイトル季刊理想 Vol.129

ページ
7/24

このページは 季刊理想 Vol.129 の電子ブックに掲載されている7ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

季刊理想 Vol.129

第 9 回 理想教育財団教育フォーラム■シンポジスト文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官浅見 哲也先生山口市立上郷小学校坂本 哲彦校長先生豊中市立上野小学校蛯谷 みさ校長先生尾張旭市立旭中学校彦田 泰輔先生飯塚市立穂波西中学校山田 誠一先生に貼っていくというもの。山田先生はこの活動を 行 っ た こ とで、クラスの人間 関 係 が 向 上し、生徒の自尊感情を高めること がで き た と、その成果を報告しました。  これらの事 例に対して、浅 見先 生 からは「いずれも大変工夫されている取 り組みで、子 どもたちは楽しんで授業に参加している様 子がうかが え る」「中 学校になると自分の考えを友だちにも伝えなくなる傾向があるが、参加と協力を積極的に促す努力がされている」などの感 想・助 言がありました。はがき新聞は有効な評価資料の一つ  2つ目の議題は道徳科の評価のあり方です。坂本先生は「授業終了後に、教師がまさにねらいとしていた内容を、はがき新聞に書いてくれる児童もいるが、これらを評価の対象にしてはいけない。むしろ、多面的・多角的な理解や、その気づきが表れている部分を評価することが大事」と、はがき新聞の内容の読み取りや評価の仕方について具体的に説明しました。  蛯谷先生は、「一連の授業で学んだことをはがき新聞に表現・交流したことで、子どもたちは自分の考えを深めることができた」と成果を強調。さらに、児童のはがき新聞への記述を基にした、評価の記述例についても具体的に示しました。  彦田先生は、「はがき新聞は子どもの正直な気持ちを引き出すツールであり、道徳的価値の理解を自分自身との関わりの中で深めているかを確認する上でも有効」とした上で、「(はがき新聞の作品を通して)具体的な学習の過程をポートフォリオに累積できる」など、はがき新聞と評価の親和性についても説明しました。  山田先生は、「複数のはがき新聞の内容から、どのように子どもたちが変容したか、理解を深めたかという点も確認でき、それを評価の根拠にすることもできる」と主張しました。  最後に浅見先生は「はがき新聞は有効な評価の資料にもなる教育ツール。皆さん、授業の範囲内で評価するために、はがき新聞を上手に活用されている」と話しました。に道徳の授業(2時間)を行いました。この授業で重視したことは、児童の心を「可視化」することです。人に何かをしてあげるとき、してもらったときの気持ちについて話し合い、そこで見つけた心を、「ハートカード」に記入するとともに、人が持つネガティブな心も、「鬼カード」に記入しました。さらに、授業が終わるごとに、そのまとめをはがき新聞に書きました。  この授業の前後で、学級力アンケートを行ったところ、意外なことに授業後のレーダーチャートはその前より小さくなっていました。道徳を実践する中で、子どもたちの主体性が高まり、クラスを見つめる目が厳しくなった結果と解釈しています。実践事例②西宮市立北夙川小学校 平林 千恵先生  クラス内(5年生)の学力格差からくる仲間意識の希薄の解消に向けて、みんなで学び合うことの大切さを感じてもらおうと、学級力向上プロジェクトの取り組みと道徳科をリンクさせた授業を行いました。教科書教材「アンパンマンがくれたもの」と自主教材を組み合わせた授業(2時間連続)です。  子どもたちは「アンパンマンにとっての喜びって?」などをテーマに意見交流を行った後、その学びをより自分ごととして受け止められるよう、お客さんや地域のために尽力した、ある経営者の姿に迫ったVTR映像を視聴しました。続いて、特別活動の時間に話し合い活動を行い、自分たちにもできる行動として「プチステキ行動」(何気ないことだけれど、誰かの役に立つ行動)を行うことを決定。最後に、自分の思い、チャレンジしたいことをはがき新聞にまとめました。6 ◆ 季刊理想 2018 秋号