ブックタイトル季刊理想 Vol.129

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概要

季刊理想 Vol.129

季刊理想 2018秋号 ◆ 2122 第14回「プリントコミュニケーションひろば」最優秀賞・理想教育財団賞授与式初めて「ヨコ型」の通信が最優秀賞を受賞 7月12日、第14回「プリントコミュニケーションひろば」最優秀賞・理想教育財団賞を受賞した廿日市市立宮島小学校・吉きっかわ川尚子先生への授与式が同校で行われました。式には吉川先生に加えて、冨安敬二立教大学名誉教授、斎藤靖美理想教育財団専務理事、石角剛校長先生が出席しました。 冨安名誉教授は「吉川先生は初めて応募された3年前(第11回)に部門別優良賞を受賞されたのを皮切りに、前々回、前回は部門別優秀賞、そして今回は最優秀賞・理想教育財団賞と、常に上位の賞を受賞されてきました。いかに先生が日常的につくられている学級通信のクオリティが高いかを証明しています」と、吉川先生の通信の質の高さを称えました。 併せて、「これまで最優秀賞を受賞した通信は、タテ型の形式ばかりでしたが、今回、14回目にして初めてヨコ型の通信が最優秀賞を獲得しました。これも非常に画期的なことでした」と話しました。 冨安名誉教授によると、過去に最優秀賞を受賞したタテ型の作品は、典型的な新聞形式、あるいはそれに準じた形式(準新聞形式)で占められており、フォーマットもある程度確立されたものだったとのこと。しかし、吉川先生のヨコ型の学級通信は、「定型のフォーマットを設けずに、毎号、変化を持たせながら、自由自在にレイアウトされている。名付けるとしたら『絵本形式』。とても柔軟であるのに、文字の太さ、手書きと活字部分のバランスなどがよく考えられていて、読みやすい。全国の先生方の参考になる作品です」と強調しました。 これに対して吉川先生は、「私の通信は、方眼紙の上に、写真や活字など、いろいろな要素を切り貼りする形で作成していますが、全体のバランスが悪かったり、納得できないときは、ホワイトを使って修正したり、上から貼り直したりすることもしばしば。手間暇は掛かりますが、高校時代に絵本作家を目指したこともあるくらい、子どものときから図工や美術が大好きだったこともあって、毎回、楽しみながらつくっています」と話しました。子どもたちのことを思いながら、自宅で制作 斎藤専務理事は「(この授与式の前に)先生のクラスのホームルームの様子を見せてもらいましたが、子どもたちとのコミュニケーションが十分に取れていて、日々の授業や学級経営もとても充実していることが見て取れました。だからこそ、あのような温かみのある学級通信が書けるのだと思いました」と述べると、吉川先生は「普段から子どもの目線で、一緒に喜んだり、悲しんだり、ということを常に意識しながら学級経営を行っています。学級通信の制作は、そうした日々の学級経営を振り返ったり、見直したりする大事な行為。子どもたちのことを思いながら、自宅で少しずつ書き進めています」と答えました。 また、石角校長先生は「私もこれまで中学校教師として、通信を発行したこともありますが、今回の吉川先生の最優秀賞の受賞は『素晴らしい』の一言。通信は子どもたちの学校での様子をご家庭に届ける大事なツールです。どの先生も吉川先生のような通信を書くことは難しいでしょうが、無理のない範囲で発行してもらいたい」と話しました。 最後に吉川先生は「ほかの学年であっても熱心に読んでくれる保護者が多くて、それがとても刺激になっています。これからも通信は書き続けていきたい」と抱負を語りました。切り貼りした通信の原稿を実際に手に取りながら懇談左から冨安敬二名誉教授、吉川尚子先生、石角剛校長先生、斎藤靖美専務理事