ブックタイトル季刊理想 Vol.128

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概要

季刊理想 Vol.128

季刊理想 2018夏号 ◆ 78 はじめに 「働き方改革」が叫ばれ、学校の業務改善について、「学校における働き方改革に係る緊急提言」(中央教育審議会初等中等教育分科会・学校における働き方改革特別部会、平成29年8月29日)を皮切りに、「学校における働き方改革に係る緊急対策」(文部科学大臣決定、平成29年12月26日)、さらには、「学校における働き方改革に関する緊急対策の策定並びに学校における業務改善及び勤務時間管理等に係る取組の徹底について」(事務次官通知、平成30年2月9日)が次々と出されています。これらの内容も踏まえながら、「次世代の学校づくり」につながる業務改善の在り方について考えていきましょう。「次世代の学校づくり」につながる「業務改善」の枠組み 「業務改善」を促進するためのアプローチを構造的に整理すると、大きく3つの枠組みが捉えられます。その1つは、教育行政からの支援的なアプローチです。2つ目は、チーム学校という枠組みに基づく地域の人材等を活用するアプローチです。これは、コミュニティスクール(以降、「CS」とします)等の制度の活用の有効性が捉えられます。3つ目は校内での自律的な業務改善の取組です。これは、学校組織マネジメントの機能を駆動させることによって教職員の組織化を促し、より効果的な教育を実現するというアプローチと、教職員のタイムマネジメントにかかる「意識改革」の促進という2つの次元での取組があります。「業務改善」の具体的取組(1)教育行政からの支援的アプローチ①「業務改善ポリシー」「業務改善の取り組み方針」の明示 学校の業務改善を促す場合、その原動力となる根拠が必要です。各学校の教育活動等の指針を明示する機能を持つ教育行政が、明確なポリシーや取組方針(例えば、「部活動の休養日の設定」等)を示すことが各校の業務改善促進の根拠となり、原動力となります。②人的・予算的支援 業務改善が求められる背景として、学校現場の人手不足と業務の膨張があります。まず、「スクールサポートスタッフ」「部活動指導員」「スクールソーシャルワーカー」「スクールカウンセラー」等、行政主導での人的配置が求められます。また、「学校事務の効率化」については、「統合型校務支援システム」の導入や学校事務職員による「事務の共同実施」を制度的に促進し、事務機能を強化することの必要性と有効性が捉えられます。③業務トレード 例えば、「予算執行にかかる校長の決裁権を拡大する(3万円以下の予算執行等)」、教職員の「職務専念義務」免除の承認権限を校長へ委譲する等、教育委員会から校長へ権限を委譲することや「教科書事務」を教育委員会で一括処理する等、業務トレードにより事務処理の煩雑さを低減し、効率化を促進することが行われています。この業務トレードの1つとして、「学校給食費」にかかる会計業務の公会計化があります(以上、長野県塩尻市の事例)。(2)チーム学校:地域で子どもを育て地域も潤う仕組みの導入 CSは学校運営協議会の設置を前提とした組織です。その主要鳴門教育大学教職大学院 教授 久我 直人先生 の学校づくり」につながる善の在り方