ブックタイトル季刊理想 Vol.128

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概要

季刊理想 Vol.128

2 ◆ 季刊理想 2018 夏号  以前の大学では小学校教員養成課程、現在は中等学校教員養成課程に教員として勤めている。文部科学省は、「大学における教職課程とは、小学校等での学校教育を担う教員を養成する課程であり、教職課程において学生の指導に当たる大学の教員には、学校現場の現状や実践について深い理解が求められる。しかしながら、現行の教職課程については、大学の教員の研究領域の専門性に偏した授業が多く学校現場が抱える問題に必ずしも十分対応していないこと、教職経験者が授業に当たっている例も少ないなど実践的指導力の育成が必ずしも十分でないことが、特に修士課程において指摘されてきた。」としている。  一方では大学の教員としてダメな人とは、昔の先生時代の思い出ばかり語る人、教育系の教員では、学習指導要領の解説書しか著書のない人といわれることがある(言われたこともある)。  理科教育の道に入ったのは、地方大学の分校で、歌代勤先生との出会いである。理科教育とりわけ地学教育では、わが国には後にも先にも先生しかいないと信じている。  高等学校時代少々地学をやっていて、猪苗代湖の湖底地形の調査などをしていたが、特段地学が好きでもなかった。先生は徹底した現場主義で、毎週のようにフィールドに連れ出されていた(当時の感覚では)。また地質図に色鉛筆で着色する時の、鉛筆の動かし方、色の濃淡の付け方まで細かく、文字通り手取り足取り指導いただいた。これが実務家理科教師の原点である。  小学校の教師になり、初任者としてほどなく科学センターの指導員となった。1960年代に制定された理科教育振興法によって、全国各地に作られた高度な科学教育を行う公設の(選抜児童・生徒のための)機関である。以来、現在まで、場所は幾度か変わったがこの指導員は続けている。  既に30代後半になって、理科教師を継続しながら、できたばかりの教職大学院大学に派遣され。理科教育学を学び直すことになる。  そこでは、理科教育で人の体について学ばせることは、生命尊重、ひいては人権教育から見ても意義深いものであると確信をして研究をすすめた。その成果は、作成協力者として参加をした小学校学習指導要領に、実に全学年に「人の体」の単元を配置することに結実したと自負している。  教頭、指導主事、校長は「実務家」ではないということになっているが、そうではない。OJTの教師教育の担い手はこれらの「管理職」である。理科を専門とする教員が一人もいない学校で理科教育の重点研究校を引き受けたのは校長になって2年目であり、市内の100校あまりの学校の授業を教師とともに実践したのは指導主事の時代である。  実は私は「実務家教員」として任用されてはいない。活字業績の蓄積によって評定する旧態とした大学教員への道を歩んできたので表題の道は測道であったと言うことになる。教員養成専修免許課程「実務家教員」への道新潟薬科大学大学院応用生命科学研究科 教授  寺木 秀一寺木 秀一(てらきしゅういち)新潟薬科大学大学院応用生命科学研究科教授。教員養成、理科教育、地学教育、環境教育を専門とする。東京都公立学校教員、校長、東京都教育委員会指導主事、東洋大学文学部教授、科学技術振興機構低炭素社会戦略センター特任研究員を経て現職。近年は「低炭素教育」を提唱し、ESD、SDGsを推進する「環境カウンセラー ESD 学会」を設立、これからの我が国のエネルギー環境教育を主導している。昨年末はタイ国 KhonKaen 県で恐竜化石発掘立ち合い、冬は毎週末には永世中級スキーヤー。