ブックタイトル季刊理想 Vol.118

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概要

季刊理想 Vol.118

TOPICS① 左から理想教育財団・酒井純司専務理事、双葉町・伊澤史朗町長、双葉町教育委員会・半谷淳教育長、理想教育財団・藤澤英昭理事小学校図書室(廊下)に置かれた寄贈本コーナー 手前が幼稚園の仮設園舎、奥が小学校・中学校仮設校舎16 ◆ 季刊理想 2015 冬号 2011年11月から、岩手県、宮城県、福島県の小・中学校に対し、各教育委員会を通じて図書寄贈を行ってきた理想教育財団。本年度は川内村、双葉町、川俣町の3自治体の小・中学校に教育図書・教材を寄贈しています。 9月18日には、理想教育財団から藤澤英昭理事(千葉大学名誉教授)、酒井純司専務理事、五十嵐秀隆事務局長が出席する中、今年度の寄贈自治体の一つ、双葉町に対する寄贈式がいわき市内の双葉町役場(いわき事務所)・町長室にて行われました。学校再開時から、子どもたちの数がほぼ倍増 東日本大震災に伴う福島第一原発事故により、町の96%が帰還困難区域に指定されている双葉町。震災から4年半を超えた今でも、帰還の見通しさえ立てられない状況です。 さらに、双葉町は震災直後から2年以上にわたり、埼玉県加須市の廃校舎(旧騎西高校)に役場機能を置くなど、県内で唯一、県外避難を実施した自治体でもあります。そんな双葉町が、役場機能を現在の福島県いわき市に移したのは、2013年6月17日のこと。併せて、伊澤史朗町長の公約に基づき、翌年の4月に町立の幼稚園、小学校、中学校の再開を実現させました(仮設校舎での教育は同年度2学期から)。「幼小中の在籍数は震災前の約600名から11名と激減した一方で、逆に小規模校ゆえのきめの細かい教育が高い評価を得ています。学校の雰囲気も良くて、今や子どもたちの数も21名と、再開時からほぼ倍増。来年度はさらに増える予定です」と伊澤町長。半谷淳教育長も「避難生活に心身とも疲れて、勉強が遅れがちな子どももいましたが、マンツーマンに近い教育、教師による適切な声かけが奏功し、学力を大幅に向上させた例も出てきました。寄贈いただいた図書も、ぜひ学校教育に役立たせていきたいと考えています」教師・町民の意識も変化 双葉町を含め、双葉郡8町村では、地域を挙げて、従来の暗記型から脱却し、ディスカッションなども交えながら、自ら課題解決を図るアクティブ・ラーニングを推進しています。「アクティブ・ラーニングの導入で、子どもだけでなく教師の意識も変わりました。当初は、震災後ということもあり、新しい挑戦に二の足を踏む傾向も見受けられましたが、今では教師自ら勉強会を開くまでに積極的な姿勢が見られるようになってきました」(半谷教育長)。また、伊澤町長は「学習発表会や運動会など、さまざまな学校行事に招待することで、お年寄りを中心に町民も元気を取り戻してきました。学校の存在が町に活力をもたらしています」。一連の意見交換を受けて、藤澤英昭理事からは、「現在の教育状況は、新しい学習指導要領を掲げた平成元年当時と似ています。実のある教育改革を実現するためにも新しいアイデアや成果を現場から積極的に出していくことが大事。大いに期待しています」と語りました。双葉町役場(いわき事務所)で図書・教材の寄贈式を実施