はがき新聞で始める学級力向上

(1) 学級力向上プロジェクト(2017年1月公開)

はがき新聞と学級力向上プロジェクト

学級力向上研究会では2011年度から、はがき新聞を活用して学級力を高める授業のあり方について研究を重ねてきました。まず今月から3回に渡り、新しい学級づくりの手法である学級力向上プロジェクトのあり方と、学級力を高めるためのはがき新聞の効果的な活用方法についてご紹介します。

新たな学級経営のシステム

学級力向上プロジェクトとは、子どもたちが学級づくりの主人公となり、学級力(目標達成力、対話創造力、協調維持力、安心実現力、規律遵守力)を高めるためにアンケートで自分たちのクラスの様子を診断・評価し、毎日の学習や遊びの中で意図的・計画的に取り組む仲間づくりの活動です。
 いじめを未然に防止し、「笑顔や拍手が生まれるクラス」「明日も来たくなる明るく安心できるクラス」をつくるための新しい学級経営のシステムと言えます。

学級力向上プロジェクトの狙い

今日の学級経営の課題を解決するためには、教師だけでなく、子どもたちが立ち上がり、「明るく仲のよいクラスをつくろう」「ルールを守り、安心できるクラスをつくろう」という高い意識を持つことが必要です。つまり、子どもたちを学級経営に参加させ、子どもたち自身によるセルフ・アセスメントを通して、仲間づくりに取り組むのです。それが子どもたちの正義や勇気の心を育み、自分の欲求不満解消のために人間関係を壊そうとする邪悪な心を打ち負かすことにもつながります。
 学級力向上プロジェクトでは、このような教師と子どもたちによる協同的な取り組みを支援するために、学級力アンケート、学級力レーダーチャート、スマイルタイム、スマイル・アクション、スマイル・ミーティングなど多様な手法や道具立てを用意しています。

学級力とは何か

そもそも学級力とは何でしょうか。以下のように定義されています。
「学び合う仲間としての学級をよりよくするために、子どもたちがつねに支え合って目標にチャレンジし、友だちとの豊かな対話を創造して、規律を守り安心できる環境のもとで協調的な関係を創り出そうとする力」
 さらに、具体的な学級力として、次の5つの能力を挙げられます。

  • 領域1 目標をやりとげる力(目標、改善、役割)

    みんなで達成したい目標があり、係活動等に責任を持って取り組み、子どもたちが生き生きとチャレンジしている。

  • 領域2 話をつなげる力(聞く姿勢、つながり、積極性)

    授業中に友だちの意見につなげて発言したり、友だちの意見を尊重してよりよいアイデアや考えを生み出したり、コミュニケーションを豊かに創造できる。

  • 領域3 友だちを支える力(支え合い、仲直り、感謝)

    勉強やスポーツでよく教え合い、係活動等で助け合い、「ありがとう」や「ごめんなさい」が素直に言える。

  • 領域4 安心を生み出す力(認め合い、尊重、仲間)

    友だちの心や体を傷つけたりせず、友だちのよさを認め合い、男女仲よくだれとでも仲間になって遊んだり、学んだりできる。

  • 領域5 きまりを守る力(学習、生活、校外)

    学校の内外で多様な学習や生活のルールを守るとともに、それらを話し合いによって創り出していくことができる。

これらの学級力を教師と子どもたちが共有し、「どのような学級にしたいか」を明確にイメージすることが、よりよい学級をつくるうえでは重要です。
 また、中学校における学級力は「自律力」の領域を加え、以下の6領域24項目で構成されています。

  • 領域1 達成力(目標、改善、役割、団結)
  • 領域2 自律力(主体性、時間、運営、けじめ)>
  • 領域3 対話力(聞く姿勢、つながり、積極性、合意力)
  • 領域4 協調力(支え合い、修復、感謝、協力)
  • 領域5 安心力(認め合い、尊重、仲間、平等)
  • 領域6 規律力(学習、生活、整理、校外)

参考文献
① 田中博之著『学級力が育つワークショップ学習のすすめ』金子書房、2010年
② 田中博之編著『学級力向上プロジェクト』金子書房、2013年
③ 田中博之編著『学級力向上プロジェクト2』金子書房、2014年

(2) アンケートとレーダーチャートに続く

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